TOHOシネマズ学生映画祭


グランプリ受賞者対談


映画祭当日の授賞式後、CM部門、ショートアニメーション部門、ショートフィルム部門でそれぞれグランプリを受賞された村松優翔さん(早稲田大学3年)、見里朝希さん(武蔵野美術大学4年)、酒井日花さん(成城学園高等学校1年)にご協力頂き、今回の映像制作を巡って大変興味深いお話を伺うことができました。

※受賞者の皆様の年齢は作品応募時点のものです。



対談

(左から)当映画祭広報部長竹内はるな、SF部門グランプリ酒井日花さん、CM部門グランプリ村松優翔さん、SA部門グランプリ見里朝希さん



受賞作品制作秘話


―受賞作品の苦労話やちょっとした制作秘話がありましたら、教えてください。


村松
キャスト2人、スタッフ3人のいつもやっている仲間で、やりやすかったです。一日で撮り終わりました。かかっている費用も野菜代ぐらい(笑) 料理は何回も行ったので、パスタを5袋分使いました。調理している所や食べる所だけではなく、完成したパスタの出来立てほやほや感を出すために、湯気が出ている瞬間を捉えなければならないので。美術の子に何回も作ってもらいました。この点は苦労しましたね。色々研究しながら撮影をしましたが、審査員の福里さんの講評でパスタの美味しさを伝える要素が弱いという講評を頂いたので…。

竹内

でも村松さんの作品が一番パスタそのものを浮き彫りにしている作品だなと思いましたよ!

村松
本当ですか。自信があった分、ちょっとショックでした(笑)あとは制作秘話としては、お姉ちゃん役の可愛いあの女の子、実はCM『いい部屋ネット』(http://www.eheya.net/cm/index.html)の5人並んで踊っている子の右端の子なんです。早稲田の映画サークルに入りつつ活動しています。可愛いのに、結構顔が全力でやっている所もポイントです。


見里

一年ちょっとかけて制作し、アニメの中に登場するレストランや男子トイレ、人形や衣装など何から何まで全て手作りで行いました。

竹内

女の子の人形が読んでる雑誌まで、細かくデザインされていましたよね。

見里

姉の雑誌を読んで研究しました。舞台セットに関しては大学内でスタッフを集めて、合計8名で大学の教室を借りて行っていました。具体的には、テーブルは画用紙の上からニスを塗ったり、お花の壁紙はスパンコールを一つ一つ並べました。次に撮影は、自宅の隣にある親戚のアパートを借りて行いました。あと人形の顔の表情ですが、外面を羊毛フェルト、内側を発砲スチロールで作り、口を一つ一つパーツで取り換えるようにしようと思っていたんですけど、刺していくうちに中の発泡スチロールがボロボロになってきてしまって(笑)逆にそのおかげもあってか、顔が柔らかく動き、より表情が細かくなった所が偶然の発見でしたね。

竹内

女の子の人形が口を大きく開けた際のベロが本物を使用していた所が、印象的でした。

見里

実際に姉のベロを撮りました。顔が平面にならないように、口の部分を緑や青の布で刺していき、後でグリーンバック・ブルーバックを用いて合成して工夫しました。

竹内

何故「わたしだけを見て」という、女の子の視点から制作しようと思いましたか。

見里

卒業制作となった今作品は初めからフィクションで作ったんですが、当初から怖い女性を作りたいと思っていて、そこからキーワードを出す中でマンネリが浮かんで、ストーリーを組み立てていきました。


酒井

今作品が初めての映画制作ですが、きっかけはもともと先生が機材をお持ちの方で、学園祭のクラスの出し物として行った事から始まりました。クラスの皆が真面目に取り組んでくれた事が、何よりも一番びっくりしています。高校一年生で映画制作って、私もバカにしてたので。私は出たくないから、脚本やってやるよ!って感じで引き受けました。でも皆がちゃんと取り組んでいるから、自分もちゃんとやらなきゃって思いました。苦労した点は、多々ありましたね。撮影期間の夏休み中、学校が新校舎の工事を一日中行っている関係で、音をアフレコで後日撮らなきゃいけなくなったり、トイレの一つを同級生が壊したみたいで、流れ続けるトイレが出来てしまって、撮影できなくなったりしました(笑)あと作品自体は昼の設定ですが、夕方しか予定が空いてない子の撮影で、日が照っているのを隠さなきゃいけなくて、身長が高い先生が黒幕を立てて太陽を隠そうとしてくださるんですけど、太陽がバーッて動くんですよ(笑)それでやばいっ!って、あたふた動き回ったりしましたね。

竹内

個人的には、最後の壮大な音楽を流しながら駆け抜けていくように終わる部分が好きです。

酒井

音楽は、ギターを行っている先生の後輩の方に制作してもらいました。キングスマンとかでクラシックを破壊的に使う感じが、すごく好きで使ってみたい気持ちがありました。また先生の中ではドーンオブザデッドをオマージュしたいと思っていたらしくて。色々と考えを出し合って、書き上げた感じです


受賞作品への思い入れ


―受賞作品を制作する上で意識していた事はありますか。


村松
女の子が可愛いのと、男の子も1年生の後輩なので、めちゃくちゃ幼くて弟感が何とも可愛いので、あの二人の笑顔や良さをちゃんと撮ろうと思いました。あとはパスタを美味しそうに見せるという点と、この二点に気を付けていましたね。

竹内

お姉ちゃんが足蹴りを入れながら、弟をテレビの前からどかせようとしているシーンとか細かい演出が、姉弟同士の団欒な雰囲気を促していましたよね。

村松
あのようなやりとりに関しては、僕自身一人っ子なので兄弟がいる感じが分からなくて、スタッフ5人で話し合いました。その中で、普段は偉そうにしているお姉ちゃんと、それに対して何も言えない弟という設定で、唯一ご飯に関しては弟の方が得意でいばれるから、それ以外は下の立場として雑に扱うという演出にしました。


見里

どの作品でも顔の表情を意識しているので、今回の作品ではほっぺと口の動きに特に注意を向けていました。もともとカートゥンネットワークのオーバーな表情が好きで、その部分が自分の作品に影響をもたらしているんだと思います。あと、CMディレクターの中島信也さんが、「映像は人の時間を奪うから、見て良かったと思えるプレゼントをしなければならない。」と以前仰っていた事から、見ている人が飽きないようなテンポや演出も意識しました。

竹内

セリフをあえて曖昧にする事で、視覚で顔の表情を捉える事に集中させる工夫をもたらしているのかなと思いました。

見里

確かに、あまりセリフとかにしたくないと思っていました。でもごにゃごにゃと完全に曖昧なセリフにしちゃうと英語みたいな、海外っぽくなっちゃうので、若干日本語っぽいのが伝わるように、日本語を逆さまにしたりしなかったりと、そこは割と適当です(笑)

村松

それが逆に面白いですよ!

酒井

なんか動物の森みたいで、面白かったです(笑)


酒井

起承転結がしっかりしている話が好きで、例えば『シックスセンス』、『メメント』、あと東野圭吾さんの作品など、分かった時に叫んじゃう感じが好きなんです。なので、自分が脚本を行った際も、シナリオを凝ってみたいと思ってて、冒頭で何が起こっていくのがか分からない、ぐだらないものを目指してますね。最後にダッシュでバーっといって、ストンと落とすような構成にしました。

竹内

確かに、最後にかけてクラスメイトがどんどん便所飯のゾンビと化して、主人公が教室で悠々自適に食べていましたもんね。


今後の抱負


―最後に、TOHOシネマズ学生映画祭でグランプリを受賞した感想、そして今後の抱負を教えてください。


村松

1年生の時、当映画祭の第8回に応募してノミネートだけされて壇上に上がり、それで落されたので、その雪辱を果たせたのが嬉しいです。あとは賞金10万円を頂いて、皆で仲良く山分けしたいと思います。今後の抱負は、まず直近の話ですが、自分が実行委員長を務めている「第2回ところざわ学生映画祭」(http://tokogakusai.webcrow.jp/)ですね。僕は早稲田大学所沢キャンパスの映画サークルに所属していて、その早稲田と近隣の日芸と立教の学生たちが集まり、去年映画祭を立ち上げました。今年は5月8日(日)に行うので、宜しくお願い致します。次に個人の今後の活動としては、日本が盛り上がっているVR(バーチャルリアリティー)業界に興味を持っています。映画、広告、そしてVRへの興味が高まっているので、色々とやりながら映像業界に携わりたいと思います。


見里

今回こんな大きなスクリーンで流してもらって、グランプリを貰えたという事が、人生で初めてなので相当嬉しいですね。今後も他のコンテストにも参加するつもりでいるので、頑張りたいと思います。また、今年から大学院に入り、アニメーションの制作をしていく予定ですが、以前からずっと意識している顔の表情から、一度離れて新しい表現に挑戦してみたいと思っています。ただ、観客を楽しませる事は意識し続けたいですね。


酒井

グランプリを頂けて凄く嬉しいですが、高校生でこの賞を頂けた経験を今後に最大限生かしたいという想いが一番です。大学では作品を企画する活動をしていきたいと思っています。小説の起承転結が好きなので、その要素を脚本に生かす事ができるよう、頑張りたいと思います。


―グランプリ三名の皆様、ご協力有難うございました。この対談記事を読む事で、グランプリ受賞作品をより楽しめる事、間違いなしですね!(対談・文責/竹内はるな、編集/伊藤まりん)

※受賞作品は後日動画サイトの当映画祭アカウントにて公開致します。